FUTURE INTERVIEW
INTERVIEW_03
現場から生まれる熱を
量産していきたい
菊川 篤
- 入社年/
- 2012年(中途入社)
- 所属/
- ブランドマーケティング本部
第1ブランディング部
トヨタイムズユニット
※2022年1月取材当時


大きなフレームとの
ギャップが
おもしろい
『トヨタイムズ
放送部』
これまでにもっともココロが動いた仕事は、YouTubeで展開している『トヨタイムズ放送部』です。参加したのは2021年の夏。豊田社長の発案で、オリンピックパラリンピックに出場するトヨタアスリートの活躍やストーリーを伝える情報を毎日放送することが決まりました。大会終了後も、引き続きトヨタのスポ―ツ・アスリート情報を中心にさまざまなトピックスを取り上げ、毎週番組を流しています。
『トヨタイムズ放送部』以前は、トヨタ社内のインナープランニングとコミュニケーションを担当していました。社内に向けた情報発信と、YouTubeを利用し全世界に向けて情報を発信することを同じ価値観で比較するのは難しいですが、やはり今までとは違う刺激があります。
『トヨタイムズ放送部』では台本をつくったり、現場で撮影をしたり、プロスポーツ選手にインタビューするなど、いろいろなことに新しく挑戦させてもらっています。
この仕事の肝は、あえて編集全般を内製しているところです。なぜ手作りのような制作をしているかというと、見てくれる人に熱が伝わる情報を届けるには、まず作り手が現場に足を運んで、そこに宿るリアルな熱を感じるべきと考えたからです。それをトヨタという大企業が『トヨタイムズ』というコミュニケーションフレームの中で積極的に取り込もうとするギャップが、おもしろいんですよね。

新体制で生まれた
フラットな現場
トヨタ・コニック・プロの設立年に『トヨタイムズ放送部』に関われたことは、これまでの仕事の中でも象徴的なことだったと思います。一番の理由は、従来の枠や垣根を越えた仲間とフラットな関係性でひとつの仕事に取り組めたからです。これまで他の広告代理店とは、競り勝つか否かの関係でした。競合に意識が奪われると、ともすれば上位に位置するクライアントやその先の生活者を見落とすケースに陥ってしまいます。あるいはクライアントに対しても、担当者の好みに合わせた提案に偏ったりして、案件そのものの本質的な課題から逸れてしまうことも少なからずありました。それが現在の『トヨタイムズ放送部』にはありません。かつての競合もひとつのチームとして活動できる。以前はクライアントだったトヨタにしてもそうです。そのチームで考えたアイデアが、スピーディーにダイレクトに世の中に発信されることは、これ以上ないやりがいとも言えます。
番組に豊田社長の出演が多いのも特徴的です。説明するまでもない世界的企業のトップが出演すると現場の空気は張り詰めますが、役職なども関係なく全員それぞれがやるべきことをやりきります。初期段階で豊田社長はこう言ってくれました。「探り探りの未完成でいい。失敗してもいいよ」と。これには救われました。そもそも役職で判断されない方なので、今のフラットに仕事ができる土壌は、豊田社長自身が用意してくれたものと言えると思います。


数値化され難い熱や
思いの
量産と
拡散も大事
広告というのは元来、広くたくさん伝えていくものでした。一方で今後は人に寄り添う手法にシフトし、それが次代のブランディングやマーケティングの主流になる可能性も少なくありません。その試みに挑んでいるのが『トヨタイムズ放送部』なんだと思います。現場に足を運び、手作りの感覚で熱を伝えるスタイルは、デジタルトランスフォーメーションに逆行するようなことかもしれませんが、それをトヨタが取り入れているのが、やはりおもしろいところです。
その一方で、KPIとしての数字やデータ、配信動画であれば視聴者数を挙げていくという我々の役割を忘れてはなりません。一般の生活者はもちろん、約7万人のトヨタ従業員に向けても、トヨタの考えや活動状況を的確に伝えココロを動かしてゆくのが使命ですから。それらを踏まえた上で、新体制となったこの現場では、数値化され難い熱や想いの量産と拡散を大事にしています。
今後、番組ではスポーツに限らず、未来の社会に向けた、SDGsやカーボンニュートラルの活動も、紹介していきたいと思っています。この仕事を通じて、未来を、世の中を、少しでも前向きに変えていきたいです。
私には息子がいるのですが、いつか大きくなったとき、息子が友達に「僕のお父さんは○○の仕事をしてる!」と胸をはって言えるような仕事に取り組んでいきたいです。そうした未来への願いも込めながら、これからも走り続けます。